14:ニュージーズ~新時代たち

こんにちは、ハルコ。です。

2021年も終わりが近づいて参りました。

昨年の全公演中止をふまえ今年最も期待したニュージーズは1公演も欠けることなく11/17大阪梅田芸術劇場にて無事に千秋楽を迎えました。

本当におめでとうございます。

私は現在絶賛ふぬけ状態です()

 

とにかくパワーと熱気にあふれた若いカンパニーの勢いに押されまくった公演だった。

ストーリー的にもNYの貧しい新聞少年が一致団結し労働条件の改善を要求してストライキを起こすという実話のもとめっっっちゃ簡単にさらに分かりやすく勧善懲悪にしただけなので、物語に深みを与え面白いものにするのは役者それぞれのポテンシャルに掛かっているタイプの作品だと思う。

「リトルマーメイド」「美女と野獣」などでお馴染みのアラン・メンケン氏のキャッチーな音楽と相まって個々の魅力が全面に感じられた成功例じゃないかと思います。(えらそうな言い方ですみません)

 

以前の記述と繰り返しますが、私は2015エリザベートのルドルフ皇太子から京本大我くんのファンになった人間で、京本ジャックについて語ろうと思えばそれで終わらせることも出来るのですが、この作品についてはある程度全体を通して話をしないと意味わからなくなる気がするので、主な出演者ごとに感想をまとめたので、どうでもいいと思われたところは飛ばしてください。

 

松岡広大(クラッチ)

この演目のMVPを差し上げたい。そもそもニュージーズって人物設定の細かい説明がなされておらず、クラッチーも足が悪い少年であることはひと目でわかるのだが、それ以外は何もわかりません。

しかし相当苦労して生き抜いてきたこと、それにめげない強さや明るさ、ジャックと力を合わせて生きて来た誇り、でも時折見せる劣等感などなかなか複雑なキャラクターであることは、彼の身振りや目線の投げかけ方で裏にあるものが見えてくる。私は作中でクラッチーを見るのが1番楽しかった。どれだけ緻密な役作りをしてきたんだろう。クラッチーの存在が、真っ直ぐ突き進むジャックのストーリーの流れに添いつつも繊細な蔭や奥行きを与えてる。

しかも歌が上手い。この若さで表現力まで身につけて松葉杖でクルクル動いて、どれだけ稽古してきたのか考えるだけで気が遠くなりそうです。

舞台界隈で最近よく名前があがる彼は、この先どんな役者になっていくのか、どんな作品に出るのか、とても楽しみです。

千穐楽挨拶がだんだん成河さんに似てきた気がする()

 

加藤清史郎(ディヴィ)

私の知ってる子役時代の彼はとても賢くてしっかりもので、10歳そこらと思えない膨大な歴史的背景や脚本の読み込みで裏付けされたのではと感じる少年ルドルフやガブローシュ像を客観的に緻密に作り上げる、まさに天才少年だった。加藤少年ルドルフの「ママ...!!」は思わず駆け寄って抱きしめてあげたい衝動に駆られた(犯罪です)くらい胸にキた。

自己管理もちゃんとしていて界隈の友人とは「こども座長」と呼んでいたくらい。あるいは頭の後ろにチャックがあって開けたらちっさいオッサンが出てくるんじゃないかとか。失礼

愛くるしい容姿でわきまえることを知っていた冷静なスター子役だった。

しかしディヴィを演じる清史郎くんはとてもエモーショナルなのに驚いた。

時に感情が昂って目に涙を浮かべながら、なりふり構わず演技する彼を私は見た事がなかった。たぶん私が騙されてるわけじゃないと思う

昨今の舞台役者の基準から言うと小柄なので、役がつくのか心配していたのですが、デイヴィという役に出会えてよかったなあ。

そしてやはり相変わらずの芝居の上手さと、舞台における他と一線を画す存在感はさすがだと思います。

学校も忙しいと思うけど、これからも清史郎くんにしか出来ない役に巡り会うことを願っています。

 

咲妃みゆ(キャサリン)

なんつーても歌が上手いよなあ、やっぱ...NINEの時も思ってたけどディズニーのヒロインにぴったりな容姿で(NINEはディズニーちゃうけど)ほんとにアニメ映画にいそう。演技で更にそう見せてるところもあるけど、パッチリした目や豊かな声量など、ザ・ディズニー!!に向いている方だと思います。ニュージーズとタップで踊るとこめっちゃ可愛かったです。

キャサリンのソロ「何が起こるのか」は私が見た中では11/16昼公演のが完璧だと思いました。歌詞が曖昧になってるところが全くない。この歌は速いテンポで音階が上がったり下がったり忙しい上にスタッカートが多くてすごくスタミナがいる曲だと思うんですが、後半もダレもバテもないどころか最後の方でフェイクで上げてすぐに戻すっていう自分でも何を言ってるのかよく分からない(伝われ)テクニックもばっちりハマって「決まった!」ってテンション上がりました。

こういうの見れるのが東宝の醍醐味だなあ。

彼女の存在はジャックとは反対方向からニュージーズという作品を力強く華やかにしてくれました。

 

霧矢大夢(メッダ)

相変わらず安定感抜群のきりやん...最近の私はピピンに続いて色っぽい勝気なきりやん率高めな感じです()

ニュージーズにきりやんが参加しているとわかった時点で「この演目は大丈夫だ」と思ったのと同時に「よっぽど難易度高い演目だな」と察しました。

元男役トップの華と要所要所をピシリと締める機転の良さ、宝塚時代からスキルの高さもちろんとりわけ好きな方でしたが、ご本人もとても愉快な方で、こういう作品にピッタリ。私は勝手にメッダに脚本のハーヴェイさんを重ねて見てました。

「ジャック・ケリー!謎の男!」は未だにどういう意味なのかわからんので何かと掛けた言葉なのか、どなたか私に教えて下さい。

おかえりなさい、きりやん。大阪はあなたの帰還を待ってた。

 

松平健(ピュリツァー)

知らぬ人もいない時代劇の大御所「上様」ですが、かつて東宝ミュージカルきってのスターだった時があったことをご存知ないお若い方も多くいらっしゃると思います。

私も直接観ていませんが、親世代が「風と共に去りぬ」や「王様と私」を観に行っていた覚えがあります。

なので、正直に言うと歌い方がちょっと古いという気もしたのですが、熟練の演技とスター性でラスボス感ハンパない。

エネルギー溢れるニュージーズたちが束になって掛かっても、ちょっとやそっとでは崩せない難攻不落の城壁のようなスケール感と、時おり見せる憎めないコミカルさ、時代劇では確実に勧善懲悪の善に回る絶対的上様が、今回は悪役となるピュリツァーを演じたのは異例なことであり(長い芸歴の中で全くなかったことは無いでしょうが)ある意味挑戦だった気がします。

私は千穐楽のピュリツァーさんが1番好きでした。若いニュージーズから全力のエネルギーを受け止めるのは大変なことだったでしょう。お疲れ様でした。

サザエさん頑張って下さい!!

 

ニュージーズたち

めちゃくちゃ長くなるので迷ったんですが、これを書いておかないと話にならんだろう。この際個別は省略させて頂きますが、よくこれだけの若手を揃えたと感嘆します。

このところ最近はかつてないほどアンサンブルのレベルが上がっていると感じていましたが、ニュージーズを観て確信に変わりました。

テレビ番組やコンサートではプリンシパルがソロで歌うビッグナンバーがクローズアップされがちですが、本来ミュージカルはアンサンブルがいないと成り立ちません。良い作品には質の高いアンサンブルは必須です。

ここ何年かも四季や宝塚以外のプロダクションでも、アンサンブルがいわゆる「バックダンサー&コーラス」ではなく専門職と扱われ質が上がっていましたが、それぞれの方の得意分野と言うものがあったと思います。

特にバレエとタップは経験者とそれ以外はやはり違いがあります。若いうちに始めるに越したことはなく、習熟には時間が掛かります。

そしてこの演目にはバレエ、タップ、アクロバット、歌、芝居、努力ではどうしようもない若さというものが必要になります。とりあえずものすごくキツい演目だろう。

各分野の若いプロたち(あるいはその予備軍)が集まったのは、すごいことだなと思いました。

そしてニュージーズの良いところは、他の演目よりも圧倒的にアンサンブルキャストにキャラクターがあり、1回観ただけでもなんとなく見分けがつくほどそれぞれの役回りが重要ということです。おそらくニュージーズはロミジュリのような新人男優の登竜門になるでしょう。(女子の需要がないことが残念です)

私の周りでもそれぞれ「推しニュージーズ」を持っていました。

ちなみに私のお気に入りはブルックリンです。聞いてない

「ワールドに知らしめよう」「ブルックリンがここにいる」「時は来た」などニュージーズたちが歌と踊りで白熱していくシーンは圧巻で、とりあえずストーリーがよくわかんなかったとしても巻き込まれる強さとパワーがあります。

もし、ですよ?出オチ感半端ないですが、今回はメイン3人がとても良くてニュージーズに埋もれることはなかったですが、再演を重ねていくうちにキャスト全とっかえでプリンシパルがイマイチでもニュージーズたちだけで乗り切れそうな気がします(もう黙れ)

とにかくそれくらいニュージーズたち素晴らしかったです。今後違う舞台でお目にかかった時は注目します!

蛇足ですが脚本家のハーヴェイ・フェアスタイン氏について述べさせてください。

本来は俳優ですが「トーチソング・トリロジー」「スプレー」「キンキーブーツ」の脚本家もつとめていて、いずれも私の人生において上位を占める好きな作品です。そりゃ間違いないです。でも正直に言うと上記の作品に比べれば鮮烈さに少し欠けると感じたのも確かです。元の映画があるし、ディズニーという制限への配慮が少しは影響したのかなと思います。それでもスカッと爽快感のあるストーリーにまとまっているのは流石だと惚れ直しました!

私にとって本物のローラ姐さんはハーヴェイさんだと思う。

キンキーブーツ本当に楽しみです!

話がそれた

さて我らが京本大我(ジャック・ケリー)です。

ここまでで既に力尽きそうです。がんばれ私。

まず、本当に良く歌えてる。

ミュージカルの場合の歌唱は、音程が合ってるのは大前提として歌詞が観客に全て届くかということが重要になってくる。大我くんに限らず、ポップスからミュージカル来た人の歌い方は呼吸を多く吐く感じで、子音と母音の境界がはっきりしない人が多い。そうなると歌がセリフとして劇場の奥まで通りにくくなると思います。でもあくまで個人的な感想ですが、16日夜の公演の「サンタフェ」は完璧でした。

何かひとつ掴んだな、と想いました。

ジャックとクラッチーの掛け合いは何より楽しかったし、キャサリンとのやり取りはわくわくしたし、ピュリツァーさんとの直接対決は将来を期待するに余りある未来のスターのオーラを感じた。

でも(おそらく)表現力が元から備わっているぶん、そこに頼りすぎてちょいちょい基礎力が足りないの見えちゃったりもするのですが、そこは数をやればどうにかなる問題です。まだ若いしね。

それでもカンパニーの熱量やチームワークにピッタリハマっているのが、個人的には「納まるべき箱にしっくりハマった」ような感じがして大変喜ばしい。

千穐楽はだいたい舞台上も客席もお祭り騒ぎだが、カンパニーに別れ難い家族的な雰囲気を感じて改めていいカンパニーだったんだろうなと胸をつかれた。

これまで書いてきたように圧倒的に個性の強いカンパニーの主役、ジャックを演じることは物凄いプレッシャーを感じたのは間違いないだろうし、同時に稽古場に足を踏み入れた時に、あのキャスト陣とその場所に立つ果てしない喜びを感じたのではないかと思っています。

大我くんはアイドルだけど、本当にミュージカルを愛しているから。

それくらい生き生きしていた。どんな時よりも舞台で放つ華やぎや輝きは別格なような気がします。

目がミュージカルスターの目だ。

いやルドルフの時からずっとミュージカルスターの目なんだけど。

井上芳雄くんや城田優さんがある日突然私の想像を超えるパフォーマンスを見せた時のように、いつか不動の0番になれる人だと思います。

あと望むことはただ1つ。

これから先も良い作品に恵まれたらいいな。

面白くて、華やかで、充実感でいっぱいになる、そういう舞台人に成長してくれたらうれしいと心から願っている。

これからもずっと界隈では「ジャニーズ」というフィルターが付きまとうのは仕方がない事だと覚悟しているし、そういう意味では「ミュージカル俳優」と呼ばれる日が来るのはなかなか難しいだろうなと何度も考えるけれども(しろたんもそう呼ばれるようになったのは最近だし)、諦めず時間を見つけてお稽古を続け、定期的に舞台に立ち続けてくれたら、いつか本当の答えが出るのかもしれない。

ニュージーズは昨年の中止を受けてやっと公演出来た演目なので決まったときはまだジャニーズJr.だった。(ルドルフ役を受けての抜擢だったと言える)

SixTONESとしてメジャーデビューした今、最初に頂く演劇のお仕事はなんだろうと今から楽しみです。それが何年後でもかまいませんから。

あといつかミュージカルナンバーで大我くんのソロコンに行きたいです。全部それでセットリスト組むの無理でもエリザベートやニュージーズだけは本役ということもあるし使用許可が降りるかもしれない。(HARUTOでもいいよ!)

この千穐楽が終わりじゃなくて希望の始まりであって欲しい。

金の卵たちは、ニュージーズという船で果てしない航海を始めた。

などと某 財宝探すアニメみたいなこと言い出したので、この辺で区切ります!!(ダメだ拗らせが酷い気がする)

 

このブログをアップしたのは123日、奇しくも大我くんの27歳のお誕生日となりました。

大我くん、ファンの皆様、誠におめでとうございます。

この1年が豊かでありますように、彼の前途が明るいものになりますように、心からお祈り申し上げます。